ドラゴンクエストでおなじみの鳥山明氏、堀井雄二氏、ファイナルファンタジーの坂口博信氏が手を組んだことで話題になった時を駆けるRPG、『クロノ・トリガー』の感想。
コッ・・コッという時計が時を刻む音ではじまる所から引きこまれる。
昨今のような豪華なムービーとはいかないけれど、クロノ・トリガーという曲の力も合わさってオープニングデモでここまでわくわくできるゲームにはなかなか会えない。
物語
ガルディア王国建国千年を祝う千年祭で、主人公クロノと少女マールは運命的な出会いを果たす。
この部分も伏線になってるなんて思わなかった。王国裁判では痛い所をつつかれたり。
発明家のルッカが開発した物質転送装置に興味をもったマールが入ってみて装置を作動させると、彼女の所持していたペンダントが反応、想定外の動作を起こしマールの姿が消えてしまう。
同じ現象を利用して後を追ったクロノが行き着いた先は魔王軍との戦いが続く過去の世界だった・・。導入から心をつかまれる。
中世、未来、原始、古代まで、さまざまな時代を行き来することになるタイムトラベルを軸に進むストーリー。
次第にラヴォスという災厄の存在があきらかになり、滅びの未来を知ってしまったクロノたちはタイムゲートを使って世界の破滅を防ぐため奔走。意外な展開もあったりして、これが先が気になる面白さ。
時の流れの忘れ物になっちゃう なんて何気ない説明のテキストも味わい深い。
今となってはなんてことないけど、1999年がキーになる描かれ方をしていた。架空の世界のことだとしても身近に思えて、あの当時は想像するしかなかった今を生きているんだなあとしみじみ思ったり。
セーブした時に出る表題がシナリオを端的に表していていちいちよかった。
音楽
情景が浮かぶ音楽は心に残るものばかり。
どこに来てしまったんだろう・・と孤独な気持ちにしみる中世の 風の憧憬 のせつない旋律は耳から離れない。魔王決戦 は風の吹きつけるような入りから盛り上がっていく曲の展開がいい。時の回廊 は今までとちがった所に来てしまったっていうのを感じさせてくれて印象深い。川のせせらぎとか水滴とか環境音も細かい。
グラフィック
鳥山明氏によるキャラクターデザインも魅力的で、書きこまれたドットグラフィックはよく動いてきれい。
カエルが仲間っていうのは新しかった。魔王も。どちらもカッコよさがにじみでる。
あと、宿屋の寝姿にも個性があらわれたりして面白い。
戦闘
戦闘はFFのアクティブタイムバトルに範囲や位置の要素を加えたVer.2。
クリティカルがモーションと効果音あわさって気持ちいい。
一番のポイントはれんけいわざ。
例えば2人のゲージがたまったら、クロノのかいてんぎりとルッカのかえんほうしゃでかえんしゃりんが選択可能 といった具合。これがまた強力で使わない手はない。
パーティーの組み合わせ次第でいろんな種類があるので、誰を戦闘に出そうか考えるのも楽しかった。
強くてニューゲーム
今では当たり前になった強くてニューゲームも当時は新鮮だった。
クリア後、引き継いだデータでラスボスを倒すタイミングによってエンディングが変わるマルチエンディングとの相性がばつぐんだった。
なにより積み重ねたことに意味をもたせてくれるのがうれしかった。
思い出
リアルタイムでプレイしてた頃、まだインターネットが普及してなかったので、人づてに攻略情報をやり取りしたのが思い出深い。
虹 の情報をはじめて聞いた時は驚いたし、中世ではシェルターをいっぱい集めた。
話の中でそんなの初耳だよ って情報が不意に出てきたりして、これを盛り上がってた時期にプレイできたのは幸せだったなあと思う。
気になる所
しいて言うなら、戦闘中、移動する場所を自由に指定できるわけではないのでちょっと歯がゆい思いをすることがあるかな という位。
ちょっとした情報
空中刑務所の自分の牢のとなりにある半開きしかしない所にある白銀剣は、外壁から入ってシェルターを手に入れた部屋にひっそり抜け穴がある。
これは気づきにくかった。
まとめ
時間を超えて歴史に介入するシナリオ、心に刻みこまれるBGM、れんけいが楽しい戦闘、個性的なキャラと今でも夢中になれる要素が詰まった作品。
DS版やゲームアーカイブス、PC、スマホでもプレイ可能。個人的に好きなのはやはりオープニングデモにわっくわくしたスーファミ版。
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