2000年スクウェアよりプレイステーションで発売。
アクションアドベンチャーRPG といっていいのかな。『ベイグラントストーリー』の感想。
面白い所、特徴など
「オレを追ってこい、アシュレイ・ライオット!」
『タクティクスオウガ』や『ファイナルファンタジータクティクス』の松野泰己氏の抜群のセリフ回しは相変わらずすごい。心に伝わるものがある。
イベントシーンのカメラワーク、演出、細かな表現がとてつもなくいい。
加えて吹き出しのメッセージ、味のあるポリゴングラフィックの演技も合わさって、プレイステーションの映像としてはかなり芸術性が高い。
まるで映画を観ているような没入感。
否応なしに物語に引きこまれる。
それはもうすごい吸引力で、それだけの力がある。
吉田明彦氏のキャラデザインも味方から敵に至るまで秀逸。
FF7辺りからスクウェアが積み重ね、意識していたと感じる映画的な表現の集大成を感じるデキ。
ちょっと暗めで、圧倒的なまでに孤独な探索となる魔都レアモンデの雰囲気が抜群にいい。
俯瞰の視点だけでなく、主観視点でも観察でき、その作りこみはハンパじゃない。
効果音もかなり細かい。
耳を澄ませば、そこにいる敵の種類をある程度察知できる。
崎元氏がてがける音楽はハイレベルな演出や探索に寄り添う。
物語
色んな組織が関わりつつ主人公アシュレイの記憶の物語。
リスクブレイカーのアシュレイにも謎があり、カリスマと不思議な魔の力をもつメレンカンプの指導者シドニーを追っていくうちに、衝撃などとともに明らかになる真実には夢中に。
有効に使えたあるチェインアビリティの用語があてはまる物語は、最後まで見守れてよかったという気持ちに。
スタッフロールで垣間見えるその後のイラストもうれしい。
戦闘
リスクとチェイン、属性のからむ戦闘はつねにスリリング。
画面切り替えなしのシームレスで展開。
バトルモードで武器を構え、リラックスモードで構えを解除し速度の上がる自動回復を図るのが基本。
〇でターゲットラインが出現。敵と攻撃する部位を選択、決定で攻撃開始。
攻撃の際、音ゲーのようにビックリマークが現れ、タイミングよく押すと攻撃を連続して放てる(チェイン)
攻撃し続けてるとリスクという数値が上がっていくのも大きな特徴。
リスクが上がると、命中率が下がったり、こちらが受けるダメージが高くなっていってしまう。
そのため、敵を一気に倒すべくチェイン続けるか、高まるリスクをどうするか、常に判断が求められハラハラドキドキの戦闘を味わえる。
リスクは攻撃しないでいると下がるほか、アイテムで下げることもできる。
可能な限り低いほうがいい。
そこに装備の属性もからんでくる。
敵には種族があり、武器にはそれぞれに対応した種族の属性値がある。
この値が高いとダメージが通りやすくなるのでかなり大事。
加えて斬撃、貫通、打撃属性もある。
敵により通りやすいものが違ったりするので武器を使い分ける必要がでてくる。
DP、PPの概念も。
DPは武器を使っていくごとに減っていき工房で修理可能。
PPは攻撃して使っていくごとに上がっていく数値。
拾ったり合成したばかりのものはPPが少なく、敵に与えるダメージが少なくなりやすい。
なのでボス戦などでは使いこんでおくのが大事に。
チェインアビリティのゲインファントムで意図的に上げられる。
気になる所
すごい夢中になれる内容なのに誰にでもはおすすめできない複雑なシステムと難易度。
属性値など装備を考えながらやらないと必ず詰まってしまい、HPが何百ある敵にこちらが与えるダメージ1とか2なんて状況が平然と起こりうる。
今の時代なら難易度イージーがあるかもだけど、救済措置みたいのはない。
グラフィックは昨今のHD表現に慣れていると荒いのも確か。
ただこの作品の場合はそれが味わいにもなっている。
ゲーム内マニュアルはあり丁寧だが、進行上で手ほどきがあるわけじゃないので、こちらから積極的に学ぶ姿勢が大事に。
箱を壊して動かしたりするパズルの謎解きが挟まるが、これもノーヒントなので難しめに感じるかも。
アイテムボックスの出し入れの際、いちいちセーブデータを読み込んだりセーブされるので、そのアクセスだけちょっと時間かかると感じるかも。
ちょっとした情報
武器は3種類くらい、敵の種族ごとに使う武器を変え、種族値を上げるようにする。
これだけでも与えるダメージ0、1みたいな局面が起こりにくくなる。
ボウガンのチェインはほかの武器にくらべタイミングが計りやすく、攻撃範囲も広いので困ったらボウガン。
なるべく持ち歩いておくといい。
チェインアビリティを優先して覚える。
ゲインファントム、クリムゾンレイド、レイジングエイク、ファントムペインは優先して覚えたい。
この4つのアビリティは攻撃が通りやすいのでおすすめ。
習得の際かならず上記のが選べるわけじゃないので、出るまでは耐える。
工房の修理でDP回復を図るのも大事。とくに何か代償が必要なわけじゃないので忘れないようにする。
武器の組み立て、合成、修理は工房にいる時アイテムの装備の下、セットアップから選択できる。これ最初分からなかった。
練習用ドール、超大事!
チェイン練習用かと思いきや、レベルの概念がないベイグラントで一二を争うくらい重要な武器種族値上げがノーリスクでできる。
レベル上げっぽいことができると分かり、作業にもかかわらずテンション上がった。
チェインやっちゃうと経験値に入らないみたいなので、最初の攻撃の連打が推奨。
やりまくると壊れるが、場所移動ですぐ復活するので安心。
ラスボス戦についても。
最初の戦いはチェインつなげてもミスるので、最初の攻撃の連打で一回ずつちくちく殴った。
状態異常や補助魔法はいちいち治したり上書き。
問題は次の戦い。
基本攻撃が魔法なので、1度魔法を無効化できるインバリドスペルをかけて、距離遠いのでボウガンで戦った。
魔法攻撃後が攻撃のチャンス。レイジングエイクとゲインファントムでなるべくチェインとぎれさせず一気に攻めるつもりで。
ファントムペインをここぞとばかりに叩き込むのもいい。なるべく短期決戦のつもりで。
回復アイテムは惜しまず投入。
大きな問題はブラディシン。
突然魔法陣を横切ったと思うと視点が変わり、強力な多段攻撃が。
インバリドスペルも効かないし、280位あったHPが一撃で0になりゲームオーバー。
実は横切るときメニューが開けるので、ボウガンを盾装備に変えてHP320位を保ったら、今度は耐えられた。
一応魔法攻撃ダメージにはなってるのか・・なぜ耐えられたのかは正直分からない。
能力値アップアイテムは+4が上がる上限なので、ロードして粘るのが吉。
まとめ
円熟味ある映像表現や物語のすさまじい引きがあり、やや高く感じる難度やシステムの理解を乗り越えた先の楽しさが間違いなくある作品。
子供のころやってもこの作品のすごみは理解できなかった と思えるくらい大人になった今やったら刺さりまくった。
数値など複雑で理解に時間かかるし、バランスも簡単じゃないので誰にでもはおすすめできないが、ゲームを構成する要素すべてが一つの作品として成立し、凝縮され詰まってることに感動を覚える一作。
雰囲気が合えばとことん夢中になれると思う。
プレステってここまで出来たんだな・・みたいな驚きも感じられるはず。
ゲームアーカイブスでダウンロードできる。
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