97年、スクウェアよりプレイステーションで発売。
ファイナルファンタジーがシミュレーションゲームとなって登場した『ファイナルファンタジータクティクス』の感想。
面白い所、特徴など
抜群のセリフ回し。
タクティクスオウガでおなじみの松野泰己氏のテキストは想像をふくらませる余地を残しつつ重みがあり、無駄がない。
紡がれる言葉はキャラの個性も相まって一言一句逃さず楽しみたくなること請け合い。
子どもの頃にプレイしているが、セリフの素晴らしさは大人になった今だからこそより心に染み入る・・・そんな気さえする。
数々の名セリフも。「家畜に神はいないッ!!」と激しいものから、「さよなら、ガフガリオン・・・」といった複雑な感情を感じるものなど、いろいろ心に残る感じ。
世界観に否応なく引きこまれる。
ムスタディオをやっつけろ♡ なんてちょっとおちゃめな迷セリフ(?)も。
セレクトボタンで各項目やキャラのヘルプメッセージが細かく用意されているのもすごい。
チュートリアルもあり、複雑気味なシステムを理解しやすくなるよう配慮されている。
メニューのブレイブストーリーの項目で登場人物の説明をいつでも読むことができ、進行によって内容が変わるのも細かい。
シナリオデモの回想や用語の説明も完備され、丁寧さに圧倒される。
FF7からクラウドとエアリスも出演。
クラウドは参戦するが、他の人が相対的に見て強すぎるため正直ちょっと力不足に見えてしまうかも。でもうれしい。
物語
主人公ラムザの視点を中心としている。
親友だが身分の違いから敵となり、歴史に名の残るディリータにまつわる話でもあり、イヴァリースで起こる獅子戦争の歴史の裏側を知るような物語の展開に夢中。
章題とは離れた感じさえする展開だったチャプター4の愛にすべてをが実感をともなってくる最後の最後のシーンはただただ驚いた。
グラフィック
3Dフィールドとドットグラフィックで表現されるキャラの演技は多くの名場面を生む。
ジョブごとに用意された汎用キャラのグラフィックや、吉田明彦氏のキャラクターデザインが秀逸すぎて・・・顔グラフィックなどもしっくり。
音楽
岩田氏、崎元氏のてがける音楽は勇壮なものから切ないものまで良曲がそろってる。
どの曲も思い出深くなるが、やはり「橋上の戦い」など戦闘時の曲はテンションが上がる。
オープニングの名前入力をBGMききたいで、音楽が聴けるサウンドテストが楽しめたりする。世界観を無視したようなはっちゃけてる曲名やコメントも見どころ。
他にも効果音や、ゲームの反応というか触り心地、フォントに至るまですごく良い。
戦闘
シミュレーション形式。
物語の進行上のバトルと、フィールド移動でランダム発生するランダムバトルがある。
主人公ラムザ以外は汎用キャラを作成できる。脳内設定をこれでもかと活かせる感じ。
進めるうちに仲間も増えて、かなり強い人物も加わる。
特に雷神シドことオルランドゥ。長いシリーズの中でおそらく一番強い。
エクスカリバーのヘイストと全剣技はバランスブレイカーの名前をほしいままに八面六臂の活躍をみせる。
向きによるダメージ補正があり、高低差も。
上から下へが基本的に有利。
Speedにより行動順が決まる。行動にはチャージタイムがあるものも。それを減少させるアビリティも存在する。
システム
ジョブとアビリティのシステムがよくできてる。
FF5のジョブシステムを更に細かくいじくれるようになった感じ。
キャラにはジョブ、2種類のコマンド、4種類のアビリティを選ぶことができ、これが練りこまれている。
各ジョブで戦闘中ためられるJPを使ってジョブ固有のアビリティを覚え、覚えたアビリティは他のジョブでも活用することができる。
そのためジョブに合ったアビリティの組み合わせを考えてるだけで無限に幸せな時間を過ごすことができる位。
算術士みたいな使いこなせれば面白いジョブもあるんだけど、今回はふれてない。
個人的ジョブ使用感、おすすめアビリティなど
見習い戦士
取得JPアップ(優先度高)
投石
ためる
JPアップは何はなくてもという感じ。真っ先に習得したい。
敵を倒す以外にJPを稼ぐ有効な手段の投石はかなりお世話になった。
ゲームやってない時でもずうっと投石のことばかり考えてしまう位。
ラムザのみだが、エール、はげます、さけぶ などかなり有用でチャプター4になると騎士剣も装備できるようになる。
セリアとレディと最後に戦えるステージでアルテマのラーニングをお忘れなく。
アイテム士
メンテナンス
装備のブレイクを防ぐアビリティなので、敵のブレイク技に備えて覚えておきたい。
銃が登場してからは攻撃にも参加可能に。
ナイト
物理系の要。終盤は騎士剣を装備できるのもうれしい。
敵を弱体化させるウェポンブレイク、スピードブレイク、パワーブレイクあたりは役立つ。
二刀流だと戦技も2回連続で発動できるので非常にウマい。
戦技は銃使いにも有用で、1マスでなく射程距離の離れた状態でブレイク系を放てる。
モンク
自分と周囲1マスのHPMPを回復するチャクラが優秀。
素手の威力がモンク並みになる格闘を覚えておくのもソンはない。非力なジョブでも物理役と遜色ない活躍ができるように。
黒魔導士
敵、もしくは味方をカエル状態にしてしまえるトードの魔法が役立った。
また話術士のアビリティで銃装備可能をつけ魔法銃を装備して、属性ダメージを増加させる黒のローブを着せると、強力な遠距離攻撃の使い手として活躍できる。
シーフ
敵の武器を盗むや、異性をチャームにできるハートを盗むが有用な他、Move+2がランダムバトルで大活躍。
時魔導士
行動順たくさん回ってくるのが有利なので、チャージタイム少なく放てるヘイストはけっこう役立つ。
なにより移動のテレポ(優先度高)がすさまじい。
高低差のある地形を無視して移動できるのでかなり楽に。
自分の移動力を超えて移動しようとすると成功率が下がることに注意。
例えばMove4なら4マスは100%だが、8マスとか無理に移動しようとすると失敗する。1マス多め位なら成功率高い。
召喚士
複数回復のモーグリ、白刃取りや見切りで補いきれない物理ダメージを和らげるゴーレムあたりにけっこう助けられた。
かっこいい詠唱が多いタクティクスの中で、モーグリの詠唱は思わず脱力すること間違いなしの癒しポイントなので、アグリアスやオルランドゥに言わせてみるのも面白いと思う。なかなかグッとくるものがある。
侍
白刃取り(優先度高)でほとんどの物理攻撃を回避できるのが大きい。
見切りとは場面に応じた使い分けをするのもよさそう。
忍者
二刀流(優先度高)で武器をふたつ持てることの主導権は大きく、前衛の理想の一つだと思う。騎士剣を二刀流できれば鬼に金棒。
また見切り(+フェザーマント)でもほとんどの物理、魔法攻撃も回避できるように。
盾も装備すると回避の安定感がさらに増す。
白刃取りもだが、すべての攻撃を回避できるわけではないので一応注意。
ホーリーナイト(アグリアス)
無双稲妻突きと聖光爆裂破が抜きんでて使いやすいので、優先して覚えたい。
アグリアスは状態異常を全て無効化できるリボンを装備できるので、メンテナンスでブレイクを防いで、白刃取りでかわして、あんま深く考えずに突撃させる頭の悪い戦法を取ることができる。
正直かなり頼もしかった。
中盤で仲間になるので白刃取りなどアビリティを習得させやすいのもポイント。
剣聖(オルランドゥ)
全剣技はチート感さえある。
ほとんどの人型の敵を無力化でき、武器をついでに破壊しちゃう冥界恐叫打(メンテナンスの相手やモンスターには効かないので注意)。ガフガリオンの印象が強い、与えたダメージ分HPを回復する闇の剣で存在感を発揮。
無双稲妻突きと聖光爆裂破はやはり強いので優先したい。
加入が終盤のためアグリアスほど鍛える時間はなかった気がするのでMove+1も優先度あり。
気になる所
配慮されているが、FFシリーズとして考えるとシステムは少し複雑に見えてしまう。
大人になってやってみると、これほど作りこまれたシステムは中々ないと思えるが、子どもの頃やった時はハードルが高く感じたのも確か。
3DフィールドはL1R1でぐるぐる回せるが、高低差や建物のあるステージでは、それでも視にくい場所が出てしまう。
バランスがきつめのステージもあるので、特に連戦で詰まった時、味方を鍛えなおす機会を確保できるセーブデータを複数に分けて用意しておきたい所。
ちょっとした情報
・JP稼ぎ
序盤はひん死の敵を残して投石の投げ合い。
トード覚えたら敵と鍛えたい味方をトード状態にして互いに殴り合う。
アグリアスやオルランドゥは投石やためるを覚えないので、ラムザのおまじないを使って減ったHPをアイテムのポーションで回復 を繰り返すことで比較的ラクに稼げた。
・ゲルミナスブーツ
アクセサリは地味にゲルミナスブーツにたくさんお世話になったかも。
MoveとJumpをそれぞれ+1してくれるため、移動できる場所が増えるのはありがたかった。
まとめ
大人でも引きこまれる内容なのは間違いない。
セリフ回し、物語、グラフィック、音楽、システム・・・2021年現在見てもゲームを構成する要素すべてのクオリティがかなり高く作りこまれているのを肌で感じることができた。
シミュレーションRPGのひとつの到達点を思わせるほどの作品。
ゲームアーカイブスでプレイできるし、PSPやスマートフォンで、要所のムービーやジョブ・キャラといった追加要素のある 獅子戦争 を楽しむこともできる。
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