オープニングイベント以降は物語の進行がプレイヤーにゆだねられるフリーシナリオで展開するスーファミ後期の名作RPG、『ロマンシングサ・ガ3』のグラフィックが美しくリマスターされるだけでなく、追加要素やプレイしやすい引継ぎを搭載して現行機に帰ってきた。
自分はサガシリーズ初体験がPSのサガ・フロンティアで途中で断念し、ロマサガのナンバリングタイトルとしてはスーファミの3が初体験だったけど、サガフロよりやさしく感じられ、シリーズ未経験でも入りこみやすかったと感じる。
リマスターで追加された要素など
よく目にする左右に黒い画面というのがなく、画面いっぱいに緻密で美しい2Dグラフィックが表現される。
ボス戦は敵がアニメーションするように。アルジャーノンがすごいことになっていた。
キドラントの腹立たしささえ覚えるあの町長にもちょっとした新展開が・・でもまあ、あいかわらずではある。
NEW GAME+
ニューゲームで開始する時、すでにプレイしたデータ(クリアしてなくてもいい)があれば、そのデータから一部のアイテム、技の極意、お金、スキルレベルを引き継いで最初からプレイできるNEW GAME+の機能がある。
これはとてもありがたい。
詰まってしまった際の救済措置にもなるし、別の主人公でも始めてみようかって気にさせてくれる。
スーファミ版ではいざ別の主人公でやろうかなと思っても、今のデータでせっかく集めた貴重なアイテムや頑張って閃いて習得した極意がゼロからになるのか・・と考えると、正直ためらいがあった。
引継ぎがあることでまたやりたいというリプレー性が生まれて負担感が軽くなったのは確か。やりこんだことが無駄にならないのは素晴らしく、この機能欲しかった って所をクリティカルで射抜いてくれた。
冒険記
メニュー画面から、冒険記として自分のたどってきたシナリオ、選択を振り返ることができるようになった。
フリーシナリオの自由度があるためにイベントそれぞれを単発的に体験することが多く、場合によってはぶつ切りになるものもなくはないので、忘れないよう確認するのに役立つ。
これは地味にありがたい機能。進行順や地域別に見ることができる。
暗闇の迷宮
夢魔のイベントをクリアした後、ランスのアンナから夢魔の秘薬の夢の情報を聞くと、リマスターで新たに追加された暗闇の迷宮について知ることができる。
迷宮はピドナのマップの南西に出現。
暗闇というだけあり通れる道が分かりにくいダンジョン。オリジナル版では語られることのなかったキャラの過去を垣間見たり、新モンスターと戦ったりすることができる。
面白い所
戦闘
スーファミ版からもうあきれる位やってるけど、それだけ何回やっても戦闘が楽しい。
攻撃しているうちにピコン!と電球が光り新しい技を閃く瞬間、これがとても快感。
普通のRPGなら自分より強いと分かっている敵に望んで相対するなんて、リスクが先に想像できて躊躇してしまう所だが、ロマサガ3ではそこに意味をもたせてくれる。
強敵相手なら技を閃く可能性が高まるのがより熱いポイント。
何度も戦える手強いやつを相手に技、極意習得、能力アップにはげめる通称「道場」ができる(つらいテストながらやさしいロアリングナイト先生、アスラあたりが代表格)。
ルールを厳密にしてバランスを取ることもできそうな所を楽させてもらえる道があるのがうれしい。
能力アップはランダムなため必ず成長するって言えない場合もあるけど、技の閃きや、一度覚えた技を定着させ誰でも使えるようにする極意まで習得する楽しみもあるので、やりこみ要素が無駄にならない仕様と相まってプレイする手がとまらない。
前は重要視してなかったけど、見切りも大事。ザコやボスの一番やっかいな攻撃をくるり一回転。完全回避できるっていうのは実はかなりお得。全員で見切るとこれまた気持ちいい。
こちらから積極的に使っていける技とはちがって敵の行動に依存するので覚えにくいのはちょっと悩ましいが、見合った働きをしてくれる。
見切りも極意が習得できる。
その他にも・・
仲間にできるキャラが個性的。
ゆきだるまやロブスター、ぞうを戦闘に加えられる。条件がひとクセあるやつも。どのキャラを仲間にして進めるかはプレイヤーの裁量しだい。
会社売買で多額のお金を動かすトレード、軍勢に指示をだすシミュレーション的な楽しみがあるマスコンバットといったミニゲームが本編そっちのけになりそうな位よくできてる。
お金はそこまで大事じゃないけれど、序盤を乗り切るのが楽になるヤーマスの王家の指輪売買の裏技がそのまま残ってるのはうれしかった。
強さが足りないとボス戦であっという間にやられることだってあるバランスだけれど、抜け道的なちょっとしたバランスブレイクで上手く補われて楽しめるのもロマサガ3の味。
BGM
魅力的なのが戦闘BGM。これがメロディアスでかっこよく何度聴いても飽きない。閃きと合わさって戦闘を中毒性の高いものにしてくれている。
ボス戦もいいし、術戦車バトル、2戦し曲も変化する四魔貴族、ラストバトルまで戦闘曲がすべて最高に熱い。
バンガードや怪傑ロビンのテーマはかっこよかったり個性的で、玄城バトルはクライマックスに向けてテンションあがりっぱなしだし、街ならポドールイで癒される。戦闘以外の曲も耳にのこるものばかり。
物語
数多の命が失われる3度目の死食がおとずれた後の世界。生まれ育った運命の子は聖王か、魔王の生まれ変わりか、それとも・・
一般的な作品なら魔王がラスボスっぽいけど、魔王はもういなくなってるっていうあたりの変化球気味なアプローチが心にのこったり。
あちこちに散らばる数々の物語は自由に進行できるけど、アビスゲートにからんで四魔貴族が立ちはだかるストーリーが軸としてあるのはプレイを継続する動機のひとつになる。
気になる所
装備をはずすがなくなったのがやや不便。
ワールドマップの操作感はスーファミ版の方が自由で触り心地よかった気がするけれど、場所の指定がしやすくもなっているので、まあ慣れかもしれない。
まとめ
24年前の作品ながら今でも通用するなあと改めて実感させられる密度の濃いRPG。
細かな便利な機能で中毒性の高い戦闘や自由な冒険をあますところなく堪能でき、スーファミ版以上に深くハマることのできる待った甲斐のあったリマスター作品となっている。
プレイ環境が幅広く、switch以外にも、PS4、XBOX ONE、windows10、STEAM、PS VITA、iPhone、Android でプレイ可能。
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