ストーリーとキャラ、そして歯ごたえのある謎解きが心に刻まれるスーファミの隠れた名作RPG、『エストポリス伝記2』の感想。
特徴、面白い所
魔物を倒して生活するマキシムは預言者の言葉をきっかけに旅立ち、しだいに神に対抗できる力をもつ選ばれし者だとわかってくる。
集った仲間たちと共に世界を脅かす四神と戦うというお話。
フィールドはランダムエンカウントだが、ダンジョン内はシンボルエンカウントで、こちらが動くと敵も動く不思議のダンジョンチックなシステムが採用されている。
触れたら戦闘に突入。
アローなどで動きを止めエンカウントを逃れることもでき、戦うも逃げるもこちらの選択次第。
ダンジョン内の戦闘は意図的に避けて謎解きに集中できるようにもなっている。
戦闘はオーソドックスなターン制バトル。魔法演出は派手だし、ダメージを受けてたまるIPを使って装備に付与されている特殊な技を使えるのが特徴。
敵の攻撃力を下げたり、自分たちの攻撃力を上げる技があると楽だった。単に能力の高い装備じゃなくIPのついた装備が大事になるのは面白い。
バランスはやさしめで、レベルを上げれば余裕ができる位。レッドコアという敵が出てくる。これは経験値が多く逃げやすいドラクエでいうメタルスライム的なやつ。けれど逃げなければ確実に倒せるようになっていて、稼ぎプレイも楽しい。
ガデスという強敵がいて、本来負けてもイベントが進む戦闘(=負けイベント)でありながら、レベルを上げて対策を練れば実は倒すことができる というのも絶妙だった。
倒せばガデスのつるぎというIP技が強力な武器がごほうびとして手に入るのもうれしかった。
これが後述するいにしえの洞窟で活躍するため、努力が報われると感じさせてくれる。
物語は、個性ある仲間との出会いと意外な展開に引きつけられる。
マキシムを好きという気持ちはプレイヤーの自分にも伝わる位なのに、惹かれあうマキシムとセレナを見て身を引くティアの姿は切なかった。
泣けないと吐露するティアに、まだ本当に泣かなきゃいけない時が来ていないのかもしれない と伝えるハイデッカの言葉が沁みた。
この場面を覚えておくとラストが・・。
謎解きは開発者からの挑戦状と言わんばかりに歯応え抜群。
ヒントが少ないので頭をひねりながら向き合うことになる。
アローやボム、フックといった道具を使って仕掛けを解いていく。
例えばアローで離れたところにあるスイッチを押したり、ボムで壁を壊したり。
クリア後には戦闘で入手できる経験値とお金が4倍になるもういちどが追加。
作業感なく改めて物語を追ってみるのもありかもと思わせてくれる配慮を感じる。
熱いBGM
BGMが素晴らしい。特に戦闘。
ノリがいいし、ボス戦のバトル#2は大好きになった。
曲に起承転結があるようで、疾走感があって熱いんだけどどこか切なさを感じられるドラマティックな旋律のとりこに。
サントラを買ってしまう位何度でも聴きたいと思った。
今になってゲーム音楽でここまで記憶に残るものに出会えてうれしい。
いにしえの洞窟
寄り道でいにしえの洞窟という空腹度のない不思議のダンジョンのような場所がある。
通常装備は現地調達で持ち込み不可ながら、数少ない持ち込みが可能なガデスのつるぎが力を発揮し、かなり活躍。
あるのとないのとでは印象が変わったかも。これがまた本編そっちのけになりかねない面白さ。
手に入るイリスの宝をコレクションするやりこみ要素もある。
たくさん手に入る赤い宝箱はそのダンジョン限りでなくなるが、たまに混じってる青い宝箱のものは持ち帰り可能というのがよくできている所で、進行状況より明らかに強力な装備を手に入れることもできるバランスの懐の深さはかなり魅力的。
良いアイテムがゲットできるまで何度もやってしまった。
ちょっとした情報など
攻略上気づきにくかったこととしては、道具、装備、魔法の説明はXボタンで表示できる。
Rボタンおしっぱでその場を動かず方向を変えられるのも地味だけど覚えておいた方がイイ。
ちょっと他のダンジョンより疲労があった廃墟の塔について。
魔法使いが2人とも抜けてしまうので、全体攻撃アイテム(ブーメラン)や回復アイテムを買い込むのがおすすめ。
階段が近づくとトゲで囲まれてる所は、トゲの向こうに柱を置いて、トゲが出ない所からフックで行ける。
また、ガデス討伐後、マキシムが単独行動時、左の階段を行った先にある行き止まりは、最初の階段のまわりのブロックと次の部屋のブロックの色を踏んで同じにそろえることで扉が開く。地味に気づきにくかった。
気になる所
技のIP消費がどのくらいか使ってみないと分からないのはちょっと気になった所。
ダンジョンの謎を解き終えて脱出して、また同じダンジョンに入る場合、解いた仕掛けがすべてゼロからやりなおしになるのは大変さがあるかも。
なので、攻略はなるべく取り逃しとかなく一気に行きたい。
ただ、強制脱出の後でないと回収できない宝箱なんかもあって、そこは手間に感じた。
終盤の展開
終盤、虚空島を制御するためマキシムがアイリスを説得するシーンでBGMが変わるんだけど、これが熱い。
胸にこみ上げてくるものがあった。そしていなくなった後どうなったのか気になっていたティアの姿が。
以前別れる時は泣けなかったはずの彼女が流した涙の理由は・・平和がおとずれ、流れるBGMにもあたたかささえ感じるけど、エンディングは切なくて仕方なかった。
1は未プレイで動画を確認した形だけど、確かに繋がっていたというのが分かった。
想像するしかないけど、1から2をきちんとやった人には進むにつれ胸が苦しくなるような展開だったのだろうと思う。
まとめ
スーファミのRPGの中でも心に残る作品のひとつになった。
自分自身、本や人づてで知ったので、隠れた名作とはこういう作品のことを言うんだなと実感できた。
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