北欧神話をモチーフにした世界観。絵本の中の終焉に向かう世界で、陰謀の渦中にいる5人の主人公たちの群像劇が描かれる2D横スクロールアクションRPG、『オーディンスフィア レイヴスラシル』の感想。
過去にPS2で発売された作品でリマスターにとどまらない改良がほどこされている。
特徴
2Dのグラフィックがこれ以上ないんじゃないかってくらい美麗。ぬるぬる動くし、背景、人物、モンスターすべてにこだわりを感じる。フルボイスも相まって細かな感情表現が伝わり、絵本の世界に引きこまれる。
想いが絡み合う愛の物語に惹かれる。5人も主人公がいると感情移入しづらいとか、気に入らないキャラとか出てきそうなものだけどそれがない。どの主人公にも思い入れができる。
手軽にやりたいと思いVita版でプレイしたが、違和感を感じることはまったくなかった。昔PS2版もプレイしているが、圧倒的にやりやすくなっている。
スキルの仕組みの変化、防御回避行動の追加、処理落ちしない など、他にも分かりやすいものから細かい所まで多くの調整がされている。
戦闘
滑空攻撃やバーサークによる高速攻撃、シューティング的なのもあったりと、個性的で特色ある5人のキャラを動かす戦闘は操作していて気持ちいい。
物語をじっくり楽しみたい自分のような人向けの難易度SWEET(デメリットはなく戦闘時でなければいつでも変更可能)もありがたかった。
スピーディーで、わらわら寄ってきた敵を一気に倒すような快感を味わえたりもする。
主人公の一人、メルセデスは慣れがいるけど他キャラとはひと味ちがった操作感で、本当にシューティングゲームみたいに展開する場面があり、驚いたと同時にいい刺激になった。
スキル
ツリー型のスキル習得は、限りあるフォゾンやアビリティポイントを使ってどれから取ろうか悩ませてくれる。とりあえず迷ったら常に発動するパッシブスキル、POW消費スキルを習得しておくといいかもしれない。アビリティはチャージアップ、パワーサプライが安定。グルメがあるとレベル上げが多少楽になる。
一定時間ですぐ回復するPOWゲージを消耗して放つスキルが新鮮だった。とにかく使いやすい。ショートカットキーから出せるので、通常攻撃からスムーズにつながるコンボを組み立てることもできる。 難易度が上がると同じようにはいかないかもしれないが、 チェインがつながりやすく爽快感があり楽しかった。
PS2版では戦闘するのも苦しかった記憶があったが、印象ががらりと変わった。
懐かしいスタイルでやりたいという人向けにはクラシックモードも収録されている。個人的にはリファインで満足だったのでさわってみただけだが、通常攻撃でもPOWゲージを消耗し、なくなると動けなくなるため、PS2版はこうだったなあと懐かしく難しめに感じた。
料理
見てる側の食欲をそそる料理がとてもおいしそう。
2Dグラフィックを活かして細やかに描かれた料理はHP回復と経験値取得を兼ねていて、レベル上げのため何度もお世話になる。
キャラの食べっぷりもまたいい。ステージを攻略している中でコインが手に入っているはずなので、惜しまず経験値量の多いものを食べるのがいいと思う。
HP上昇もあるので残りコインと相談しながらお好みで。
ステージ中までよいしょと料理人が出張してくれるようになったのもうれしかった。こちらは食材とレシピが必要。
気になる所
プレイするうちに慣れるが、演劇調の見せかたを重めに感じることがあるかも。セリフ、演出、BGM、豪華声優陣による演技が合わさり、決して軽くない質量がともなっているとも言える。
物語が密接に絡んでいるからこそだが、同じ敵と戦うことがやや多いとは感じるかも。
まとめ
PS2版、好きだったけど自力でクリアできなかった・・っていうわたしのような人間でも、真の終焉までの物語を見届けることができた。
PS2版に抱いていた辛めな部分の印象がきれいになくなり、やりやすくなった良移植。
物語を重視する人、2DのアクションRPGを楽しみたい人、こだわりのグラフィックの雰囲気に惹かれたという人にも分け隔てなく応えてくれる作品になった。
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