十数人しかいない宇宙船で、普通の人間(どう見てもちがうとツッコミたくなるやつもいるけど)になりすまして人間を襲い消滅させるグノーシアは誰なのか議論を通じて推理し、投票でコールドスリープさせるのが目的のSF人狼アドベンチャーゲーム、『グノーシア』の感想。
Vitaのダウンロード専用ソフト。Vitaの最後にこのゲームを楽しめて本当によかったと思っている。
4月30日より、Nintendo Switch でも配信された。
より多くの人に知ってもらえるのはとてもうれしい。
面白い所
自分は人狼というものにまったく触れたことがなかったけど、今作で味わう駆け引きにはドキドキさせられる。
本家は敷居が高くても、グノーシアなら一人で黙々とプレイするうちに内容が理解できるようになっている。
ものの15分位の時間で議論を含む一連の流れが終わるので、ついついもう一回とボタンをポチポチする手が進み、自然とやめるタイミングがなくなっていく・・。
議論の流れによってはぜんぜん関係なさそうな人がコールドスリープに選ばれることも。それもまた面白かったりする。
派手な見せかたとかじゃないんだけど、描写、演出、テキストにいつの間にか引きこまれる。
最初は絵で感情移入しにくいかな?と思ってたけど、そんなことなかった。 CPUの思考も時にはかばってみたり、あるいは見捨てたり意思を感じられるのがすごい。
ループするごとに徐々に明らかになっていく情報もあって、やってるうちに個性をよりつかめてくるし、思い入れもできる。
自分でも可能だが、自分以外のメンバー同士で協力関係を結んできたりもして、組み合わせによってはやっかいに。
役割
議論の参加者それぞれには役割が割り当てられる。
エンジニア→人間。1日の終わりに一人の人物の役割を明かすことができる。
ドクター→人間。スリープに選んだ一人が人間かグノーシアかを確認できる。
グノーシア→人のふりをした敵。役割でウソをつける。1日終了時、生き残っていれば人を一人消滅させられる。
守護天使→人間。指定した人をグノーシアの選んだ消滅から守ることができる。
バグ→グノーシアとも人間とも異なる存在。役割でウソをつける。グノーシア排除できてもバグが残っていればその時点でバグの勝利になってしまう。
AC主義者→人間だけどグノーシアの味方。 役割でウソをつける。
留守番→2人はまちがいなく人間だと確かめ合える。
乗員→人間。なにも能力なし
ざっくり役割説明するとこんな感じ。
これが周回するごとに変わり、途中からどれを入れるか選ぶことができるようにもなる(誰かはランダムなので当てなければならない)。
ゲーム内に遊び方を丁寧に教えてくれるメニューが完備。
選び方次第であえて難易度を落としたりもできるが、やったことないことが物語を進行させるきっかけになることもあるので、挑戦も必要かなと感じる。
30ループあたりで追加されたイベントサーチが情報を得やすい挑戦の目安を示してくれる。
なにをやるにしても都度新鮮な気持ちでプレイできるということ。
能力が低いうちは、自分がスリープに追い込まれることもしょっちゅう。
こいつがグノーシアだって分かってるのに追い込みきれない!とか、グノーシアになったけどすぐバレちゃった!というままならない思いをすることがたびたびある。
けれど次第に能力が上がってきたり習得したコマンドがあることで、打開したりコントロールできる場面が生まれるようになる。
ループで得るもの
ゲームとしては15分程を1周として議論と、投票でどうなったかを何度も何度もループしていくけれど、単なるループじゃない。
引き継がれる主人公の成長もカギで、達成の難しい条件をクリアしてると経験値が多めにもらえるようす。
経験値は5つある能力値に割り振りでき、レベルアップする。
能力値は議論を自分の有利に進めることにつながるので重要。
コマンドは各メンバーとの交流を通じて増やせる。習得には一定の能力値が必要。
自分の場合は議論になるべく長くいたいと思い、ステルスを重視しつつ、習得できそうなコマンドをかいつまんで取るようにしている。
コマンド習得を重視するか自分の好きな能力にこだわるか、成長のさせ方はどれも不利にはならないので自由度がある。
自分の成長して得た能力、コマンドはずっと引き継がれる。
議論でグノーシアに勝利し生き残っても、退場させられてもプレイを重ねるごとに大なり小なり経験値が入る。
また各キャラのイベントが発生してより相手の理解が深まることもある。解放された情報も記録される。
基本的にはループなんだけど、積み重ねが活きてくるのが、人狼どちらかというと不得手に感じる自分にとっては良かったと思う所。
人狼が得意であれば効率よく進めそうだし、そうでなくても時間をかければ真実にたどり着けそうなつくりなのはありがたい。
ちょっとした情報
ある人物の一番下の特記事項をうめるのは、その人とは別のイベントが絡んでいて、他のものより大変だった印象。
イベントサーチでひっかかりにくいだけでなく、イベントを起こしつつ議論で対象を守りぬいて会話をしっかり見届ける必要がある。
その対象もグノーシアだったりすぐスリープに投票されちゃったりするものだから、何度かやりなおした。
参考までに初期条件設定は、乗員15人、グノ2人、エンジいる、ドクいる、守護天いる、留守番いる、ACいない、バグいる、役割は乗員(試してないけど、ここは他のでも大丈夫かもしれない) でイベントの出現を確認。
もっとやりやすい組み合わせあるかも。あとはサポートしたりしながら議論を生き抜いてもらえばエンディングが見えてくる。
まとめ
アドベンチャーでありながら根っこにはRPGのような部分も合わせ持っているSF人狼を、新鮮な気持ちで何度も楽しめるのが魅力。
Vitaというハードの思い出のひとつとして深く刻まれた。出会えてよかったと思えた作品。プレイステーションストアでDLできる。
ニンテンドーeショップでもDLできる。
真エンディング
スタッフロールが流れ、ループの真相を知ることもできてよかったんだけどどこか心残りがあるような、余韻の残るエンドを迎える。
タイトルにぼんやりと感じる空白が気になったまま、終わってしまうのが寂しいと思いふとはじめてみる。そこには気になる選択肢が・・・。
見つけた時はなんだか光が差したようにも思えた。
ドキドキしながら読み進み、自分の存在や何百回のループに意味はあったと確かに伝えてくれるような納得の終わりを見届けることができた。
おさまる場所におさまってくれていることがこの上なくうれしくて、 タイトル画面をみるだけで思わず笑みがこぼれた。
人狼を通じて理解が深まり、思い入れのできた彼らのことを忘れられなくなったのは間違いない。
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