死んだ直後までの記憶がない主人公 シセルが、幽霊となって時間を少しだけさかのぼったり、物にとりつくことができるようになる。
自分は何者なのか、なぜ死んだのか、その謎に迫るアドベンチャーゲーム。なんだけど、これがたった一日のできごとだとは信じられないほど練りこまれた、ちょっと変わったミステリー体験ができる。
面白い所・特徴
トリツク・アヤツル で他者の運命に介入できるのが斬新。生きていない物にトリツクことができ、アヤツルはその物に動きを与えることができる。
例えば自分の死に関係する重要人物である女刑事リンネが黒服の男に狙撃される死の運命を観たら、死の直前までさかのぼり、まず狙撃手の真上にある鉄球のついたクレーンまで色んな物に矢継ぎ早にトリツク。
無事撃たれる前にクレーンのアームにとりつけたら、今度はアヤツルでアームを動かし狙撃手の所に鉄球を落とす→リンネが助かって運命が更新される といった具合。
他にもスイッチにとりついて明かりを点灯させたり、止まっている物ばかりじゃなく時間や人の動作によって動く物にとりついてリアクションをみるタイミング勝負の場面もあったりする。
これが上手くいくと、動きや会話、物語がスムーズに展開をはじめる。
さながらピタゴラ装置のように状況が進展していく所にしてやった感というのか、気持ちよさがある。
タッチ操作が自然で、むりやり使わせるような違和感がまったくない。
直接会話したり気軽に移動できない今作の幽霊ならではのじれったさもゲームの面白みになってる。
必然的に自分に関係する人物が命を落とす場面に遭遇するので、それを防ぐために奔走(足はないけど)することになるが、運命が変わることで徐々に見えてくる真相から目が離せなかった。
ゲームを始めてから張り巡らされた伏線が最後にきれいに回収されるのはもう見事。さすが逆転裁判の巧舟氏が手掛けただけあるなと感じる所。
軽妙な会話文と個性的なモーションで表現されるキャラも魅力。
カバネラ警部とか印象に残りやすいけれど、個人的にはけなげな、いやけなげすぎると言ってもいいポメラニアンのミサイルがお気に入り。
気になった所
トリツク・アヤツルに移行する時のワンクッションは直感的に操作したかったかも。まあ感覚的なもので慣れかもしれない。
中断ポイントが細かくとはいかないのも気になった。
ちょびちょび中断しながらプレイというのがしにくい。とはいえピタゴラ装置のような展開なので、細かなセーブが難しいのは仕方ないとも言える。
ついつい先が見たいと思わせられる話の吸引力が勝る。
一応フォローがあるとはいえ、瞬間の何気ない動作に気づかないといけなかったり、ひらめきが必要な場面もあるので詰まることがある。
運命更新できてもタイミングによって詰まることも。もう少しだけ分かりやすいヒントが欲しいかなと思う所はあった。
まとめ
単なるテキストアドベンチャーとはひと味もふた味も違う、ゲームならではの今までにない新しいプレイ感覚を味わえた。
記憶を消してまたやりたいと思える作品。
なにせ9年ぶりにやっても面白かった。DSソフトの中でも印象に残る名作。今はスマートフォンでもダウンロードできる。
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